お客さまの声|”女性が主役になったものづくり”が美しいから(オーガニックマザーライフ坂田さま)

アフリカシアバターの事業開始後すぐにシアバターをご注文いただいた株式会社オーガニックマザーライフ(ORGANIC MOTHER LIFE)さま。実績も何もないアフリカシアバターのシアバターを、オリジナルプロダクトに配合してくださった理由は何なのか?代表坂田まことさまに教えていただきました!

オーガニックマザーライフ代表坂田さま

ーまずは事業内容を教えてください

オーガニックマザーライフは、オーガニック化粧品の製造業・小売業・卸売業・教育事業を行っています。農業にも慣行農業と有機農業を行う兼業農家がありますが、私たちはケミカルとオーガニックを兼業するのではなく”オーガニック化粧品のみ”を企画・製造・販売をしています。

自社工場も植物由来の原料しか取り扱っておらず、ECOCERT認証*の工場として運営しています。自社基準も含め厳格な基準のもと、容器はガラスのみ、ペットボトルを使う場合もバイオペット、紙材もバガス紙*など、完成品よりも”プロセス”を大切にしたものづくりに取り組んでいます。

広告も大手含めて一切打ち出しておらず、女性一人一人にプロダクトやサービスの「物語」で選んでいただきたいと考えています。そのため私たちは「モノ」だけではなく「コト」や「ヒト」をとても大切にしています。

「ヒト」というのは、”働く従業員”、例えばシングルマザーの女性を採用したり、今後は精神障がいがある方をA型就労*で採用することも考えていますね。結婚している、子どもがいる、障がいがある、それだけで普通の会社ではフルタイムでは働けず「社会に居場所がない」そんな女性たちに仕事を創りたいと考えています。

*ECOCERT:1991年フランスで設立された世界最大規模のオーガニック認証機関
*バガス紙:サトウキビの絞りカスであるバガスを原料にした紙
*就労継続支援A型:障がいや難病のある方が、雇用契約を結んだ上で一定の支援がある職場で働くことができる福祉サービス

オーガニックマザーライフ

ーなぜ女性たちの居場所づくりを?

実際自分が10代で妊娠し、社会復帰したら居場所がなかった経験から、真面目に生きても普通に働けない、好きなことで働くとは難しいことだと知りました。

最初はウエディングプランナーとして働いていて、21歳で退社した後はオーガニックエステで働きながら化粧品の小売業も行なっていました。子どもが小学校に上がる前にフルタイムでは働けなくなり、自宅の子ども部屋の一室でオーガニックエステを始めたんです。それが社名でもある「オーガニックマザーライフ」の原点でした。

私自身は「オーガニックが好きだからこの事業を始めた」というよりも「私の素肌や思考を変えたものがオーガニックしかなかった」いうのが近いですね。せっかく始めるのであれば、自分が信じて救われたもので事業をしたい、と考えました。

オーガニックマザーライフ自由が丘本店

ーなぜ小売のリアル店舗を?

リアル店舗を展開し始めたのは、社会的な信用のためでした。利益のことだけ考えると、一般的にもオンラインや卸売での販売の方がいいですよね。しかもコロナの真っ只中に店舗展開を始めて…

それでも店舗を通して、社会課題を知って欲しい、オーガニックが表現する美しい世界観を感じて欲しい、海外の原料と同時に国産の原料にも目を向けて欲しいと考えました。15年続けたブログなどオンラインから認知度を得たブランドですが、それだけでは伝わらないこともあると感じていたんです。

「ヒト(人)・コト(事)・モノ(物)」という順番で大切にしているので、「ヒト」を伝えるには、まずリアルな店舗や代表の私含め従業員や生産者の「顔が見える+声が聞こえる」ことが必要で、私自身にも直接会って欲しいと思いました。また、ブランドの世界観を伝えられる店舗は、私たちが目指すビジョンにおいて必須でした。

オーガニック化粧品においては特に、人(従業員や生産者)の魅力があり、事(製品の物語)の美しさがあり、やっと最後に物(商品やサービス)の価値が伝わるのだと信じています。

moonlight baby®︎「メルティボディミルク

ーなぜ宮崎の自社工場を?

コロナが一番大きな理由です。エステサロンという接客の現場だったので、離職者が出たんです。特に、子どもがいるママを雇用し続けることができませんでした。

その時に、接客以外も自社で持っていないと、今後ママや障がいある方の雇用を作り続けることが難しい、と感じました。

もともと地方と繋がってポテンシャルの高い農家の方々の農産物やその残渣(ざんさ)から化粧品を作ること自体にも興味があって。宮崎の有機農家さんを訪ねた時に今の自社工場となる1000坪の土地と200平米の建物に出逢いました。

宮崎は”日本のひなた”と言われるほど日照時間が長く、都道府県の幸福度が2年連続一位にも。人が住むにも植物が住むにも幸福度が高い場所だと思います。

さらに、宮崎はたくさんの有機農家がいらっしゃって、たくさんの有機農作物があるんです。小規模な有機農家さんと一緒に仕事したいという気持ちもありました。

オーガニックマザーライフの坂田さん

そして、私自身が「本物の」オーガニック化粧品を作るには、一から作らなければ本物にはならない、ということがずっと心にあったんです。原料を仕入れる限りは、仕入先の製造現場って見ることが難しいですよね。正直原料メーカーでも、素材自体がオーガニック・ワイルド素材かどうか、石油溶剤不使用かどうかもわからず作っていることも知って。

曖昧な情報で、オーガニック化粧品を販売するのは難しいと感じて、原料生産や処方開発、製造、販売、流通を、全部自分たちでやりたいと思いました。見てくれだけ華やかでも中身のないビジネスをやっていては意味がない、と。

いろんなタイミングが重なって、今の工場となる土地と建物に出会った時に、オーガニック化粧品製造業・製造販売業への参入を挑戦しようと決めました。

宮崎の自社工場 植物調合美容研究所

ーこれまでの商品開発では、どのように原料をお選びでしたか?

「顔が見える原料」を使うということですね。中身を知らずに売るのはもったいないので、すべてのスタッフやお客さまにも中身に何が入っているのか、、その素材がどんな人々の手によって生まれ、どんな物語(社会課題など)を持っているのかを知っていただきたい、と考えて原料を選んでいます。

悩みと言うよりも課題としては…「顔が見える原料」を探したり集めたりということに、”時間がかかる”ということでしょうか。”時間がかかる”というのは、二つの側面があると思います。

一つ目は、そもそも無農薬や有機な「素原料」を探すのに時間がかかること。

アフリカシアバターの原口さんのように発信力がある女性が主体で真ん中にいて情報を発信してくださると、ブランドとのマッチングはとても早いと思うんです。でも、日本ではそういう原料メーカーが少ないのが現状だと思います。基本的には、原料商社を通して資料だけを受け取るということも多い。

エシカル・オーガニックな原料だけを専門に取り扱う商社さんも少ないので、「顔が見える原料」が流通していない、という課題もあります。

moonlight baby®︎「メルティボディミルク

二つ目は、素原料から化粧品原料にするのに時間がかかる、ということ。

例えば、私たちは宮崎の銀鏡(しろみ)から、有機認証付きの柚子素材を、年間2tを超える柚子の搾汁残渣(さくじゅうざんさ)に加え、年間300kgを超えるの柚子種子(どちらもポン酢等を作る際に発生する果皮や種子)を出来る限り希望価格で全量買い付けています。

そこから、日本初の有機認証付き柚子果皮水や柚子精油、柚子種子エキスを作っていますが、その果皮や種子を買い付けるまで、実は2年以上かかりました。

もともと柚子の農家さんは、柚子の栽培や搾汁をしてポン酢を作ったり、ということをメインにやっていて。でも、その果皮や種子から化粧品の原料にするには、果皮や種子をどう保管するのか、どう梱包するのか、その保管料をどうするのかなど、化粧品事業に参入するための「仕組み作り」でさまざまな課題がでてきました。

つまり、売上が保証されていない中、農業以外で多くのリソースを割いてもらわなきゃいけない。そのために売上の保証や信頼関係を構築することが重要でした。その意味で時間がかかったのですが、その信頼関係は大切なことだと思います。

柚子イメージ

ーなぜアフリカシアバターを選んでいただいたのですか?

今回、アフリカシアバターのシアバターを配合したのは、ムーンライトベイビーという自社ブランドの “メルティボディミルク”というプロダクト。女性・ママ・ベビー向けで産後ケアクリニックにも提供するブランドです。フェムケア、マタニティー、産後ケアのプロダクトですね。

そういうプロダクトに使う原料として “女性が主役になっている”原料を使いたかったんです。ブルキナファソというアフリカの遠く離れた国だけど “女性が主役となったものづくり” というストーリーが美しい、と感じたので選びました。お客さまが製品を使う時に、効能だけでなく「そんな社会課題があるんだ」「だからこの原料が入っているんだ」と納得をして欲しい、と思っているんです。

肌って、味覚があるわけじゃないから「おいしい」という感動があるわけではないですよね。中身を感じられる瞬間は、”香り”や”色味”や”物語”だと思うんです。化粧品は、一瞬のときめきも、背景の物語も大切。特に、オーガニックの化粧品を選ばれる方は、使用感だけではなく、付加価値で選んでいる方が多いと思います。

その意味では、原料は常にブランドや製品に合う、共感性・協調性のあるものを選びたいと考えています。

オーガニックマザーライフ自由が丘本店

ー実際に配合して何か問題はありましたか?

原料としての使い勝手はすごくよかったですよ。何の問題もなかったです。もともと弊社には精製シアバターがありましたが、アフリカシアバターの未精製のシアバターとの主な違いは、色味と香りがあるかないかでしょうか。

もちろん未精製のシアバターを100%に近い形で配合する場合は、色味や香りの調整が必要かもしれませんが、オーガニックを選ぶ私たちのお客さまはその色味や香りに、何かネガティブに思う方はいらっしゃらないと私は思います。

例えば、弊社が取り扱う柚子種子エキスも淀みがあるから完全濾過して欲しい、という要望を一部いただいたこともありますが、正直それが栄養素なのにと思うこともあります。

だから、その化粧品を取り扱う人やブランドによって、原料の付加価値が変わるのではないかな、と思います。

配合イメージ

ー今後アフリカシアバターとどのような取り組みをしたいですか?

ぜひブルキナファソの現地に行ってみたいです!やっぱり実際に女性たちに会ってみたいですね。私たちも女性の雇用ということを考えてきたブランドなので、シアバターを作る女性たちに会ってみたいです。

私が宮崎にときめきを感じたように、原口さんがブルキナファソに感じたときめきを直接感じてみたいです。言葉ではわからなくても、現地に行ったら分かる、ということを、いつか感じてみたいなと思っています。

ブルキナファソの風景

ー他の企業さまへのメッセージはありますか?

エシカルやオーガニックなものは、化粧品という繊細なものを作るという観点で、機能面の課題があると感じられる方もいらっしゃると思います。色味や形、価格もそうかもしれません。

でも、私たちが挑戦している原料づくりは、「物づくり」ではなく「物語づくり」だと思うんです。

だから、せっかくのアフリカのものづくりを大切にしてきた原料を、精製したり加工したり、石油系の原料と配合してしまうと、元も子もない気がしてしまいます。手を加え過ぎず、原料の特性を生かし、”調和性のあるものづくり”をして欲しいな、と思います。

そして、できればパッケージ、パンフレット、SNSなどで、使用する原料のことを表記して伝えて欲しいです。女性たちの顔も掲載するというくらいの想いをもってお客さまに伝えてほしい。そうやって愛をもって一緒にやっていくことが大切なことだと思います。他の同じシアバターと一緒にしてしまうのはもったいないと思いますよ。

原料を選ぶ時に、性能や効能だけに焦点を当てて選ぶのではなく、「ヒト」や「コト」を付加価値として、その上での金額も理解した上で、フェアトレードをしていけるといいなと思います。

ものづくりは、プロローグやエピローグが大切で、いきなりポンと商品ができるわけじゃないですよね。誰かが始めて、誰かに渡って、誰かで終える。そういう丁寧なものづくり、物語づくりをしていけるといいなと思っています。

オーガニックマザーライフ
オーガニックコスメ店やオーガニックエステサロンを6店舗展開。セラピスト育成美容専門校を開講、宮崎県には自社化粧品工場を構え、自社での製品企画、OEM・ODMもおこなっている。
■会社名:株式会社オーガニックマザーライフ
■代表:坂田まこと
■住所:東京都目黒区自由が丘2-8-17-2階(本社)
■公式サイト:https://organic-mother-life.com/
■公式Instagram:https://www.instagram.com/organic.mother.life/
■代表坂田まこと 公式Instagram:https://www.instagram.com/makoto.organics
アフリカシアバター
ブルキナファソが原産国のシアバター専門ブランド。サステナブル・エシカルなシア脂の仕入製造販売(法人向けBtoB)。オーガニックコスメブランド・化粧品ブランド・美容室などを対象に、スキンケア・ボディケア・ヘアケアなどのオリジナルプロダクトへの配合実績あり。シアバターを配合したレザーケアクリームのOEM企画も展開。
■会社名:ボーダレス・ブルキナファソ
■代表:原口 瑛子
■住所:BP 2621 OUAGA C.N.T, Ouagadougou, Burkina Faso
■公式サイト:https://africa-shea-butter.com/
■公式Instagram:https://www.instagram.com/africa_shea_butter/

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